新鮮な肉なら、生で食べても安全なのでは?

安全ではありません。

食品衛生における「新鮮さ」と「微生物学的な安全性」は同じものではありません。
健康な動物の筋肉内部は、通常、体表や消化管と比べて微生物の影響を受けにくい場所です。

しかし、食べる「肉」になるためには、と畜、解体、切断、加工といった工程を経なければなりません。動物の皮膚や被毛、消化管などにはさまざまな微生物が存在します。また、加工する過程では、器具、設備、作業する人の手、周囲の環境などとの接触も発生します。

そのため、解体や加工の過程で肉の表面に微生物が付着する可能性があります。
重要なのは、肉そのものが最初から危険なのではなく、食品になるまでの過程で汚染が起こり得るということです。

塊肉の場合、微生物による汚染は主に表面で起こります。
そのため、適切に表面を加熱することでリスクを大きく下げることができます。

ところが、肉を細かく切ったり、挽いてミンチにしたりすると状況が変わります。
表面に付着していた微生物が、加工によって肉全体に混ざる可能性があるからです。ハンバーグを中心部まで十分に加熱する必要があるのも、このためです。

もう一つ区別しておきたいのが、「腐敗」と「病原微生物による汚染」です。
肉が腐敗すれば、臭い、色、粘りなどの変化から異常に気づくことがあります。一方、食中毒の原因となる微生物が存在していても、必ず見た目や臭いが変化するわけではありません。

つまり、以下はそれぞれ別の話です。
・新鮮に見えること
・臭いに異常がないこと
・病原微生物が存在しないこと

「新鮮だから安全」「生で食べられるから安全」と、微生物学的な安全性を判断することはできません。

温度管理も非常に重要です。
冷蔵することで多くの微生物の増殖を遅らせることができます。冷凍すれば、さらに活動を抑えることができます。
しかし、冷蔵や冷凍をしたからといって、すべての病原微生物が殺菌され、死滅するわけではありません。

そのため食品衛生では、「付けない」「増やさない」「やっつける」という複数の考え方を組み合わせて管理します。
原料管理や衛生管理だけでなく、必要に応じて十分な加熱を行うことにも重要な意味があるということです。

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